日本のIT産業の未来は明るいとはいえない状況にある。
世界中のIT人材は不足がち。給与も軒並みアップしており、経済産業省によると1人当たりの平均年収は日本の約600万円に対して、アメリカは約1200万円だそう。
この格差に大きな問題がある。
それはIT人材の流出である。日本の優秀な人材は新卒の段階でGAFAMのような企業に就職し、そして日本IT企業のエース級人材もGAFAMや米国のユニコーン企業へ引き抜かれていく(巣立っていく)。
人材流出防止のため、日本企業も給与水準をあげるわけだが、キャッシュフローがリッチでないと厳しい。無理すると当然赤字となるわけで、資金繰りが苦しくなる。もちろんキャッシュフローが潤沢な企業は追随できるが、それはほんの一握りだろう。
また開発プラットフォームは、AWSやAzure、GCPということになり、Amazon、Microsoft、Googleに自社の主力システムがロックされることになる。国産のクラウドが育たなかった以上そうせざるを得ないし、世界のエンジニアの共通ツール、Adobe、Githubを使う。そして利用するツールの多くはアメリカ産である。
このことは日本のIT産業において起業がいかに難しいか物語っている。そもそもキャッシュフローが脆弱な状態で船出を切るわけだから相当な後ろ盾がないと厳しい。(IT業界はオシャレなオフィスが多く、人材獲得に力を入れている雰囲気は伝わる。)
世界進出はおろか国内産業すら守れない状況。日米の差は広がるばかり。新興国にもどんどん抜かれていく公算が高い。